公的支援をうまく活用することも経営者の手腕です。中小企業の経営改善に役立つ制度は思いのほか充実しています。日経トップリーダー2010年2月号の特集2は、公的支援制度を使って資金と知識を増強することに成功した企業を紹介します。
中小企業経営者の多くは「書類を作るのが面倒だ」「役所に行くのは敷居が高い」と公的支援を活用しようとしませんが、一橋大学の関満博教授は「公的支援の活用を考えないのはあまりにももったいない」と強調します。
役所のアドバイスを受け、支援制度を活用し、必要な資金を引き出すためにはコツがあります。それをまとめたのが、下の10カ条です。
●公的支援を活用する10カ条
①役所の担当者は「関門」でなく、「協力者」と考える
②「会社として何に取り組みたいか」をあらかじめ明確にしておく
③社長が自分で役所を訪問する
④遠慮せずに、役所の担当者にアドバイスを求める
⑤申請書を書くとき、「なぜ支援が必要か」の説得力を持たせる
⑥申請書は提出前に第三者の目でチェックしてもらう
⑦プレゼンテーションがある場合、伝えたいことを絞る
⑧1回限りでなく、長期的にじっくりとつき合う
⑨活用しながらコツをつかんでいく
⑩支援を受けた事業を成功させるのは「経営者の責任」と肝に銘ずる
この中で何よりも大切なのは、経営者が直接、役所に足を運ぶことである。関教授は東京都の職員として16年間働き、中小企業の社長からさまざまな相談を受けてきた。その経験を踏まえてこう語る。
「直接訪問していろいろな話をすることによって、役所の担当者に『あの会社はこんな課題を抱えている』と覚えてもらうことができる。何度も訪問して、担当者に顔を覚えてもらうと、新しい制度ができたとき、『あの会社にとって、この制度は役立つかもしれない。連絡してみよう』と、向こうから動いてくれるようになる」
役所の担当者を「ただの窓口」と消極的にとらえてはいけない。むしろ、担当者と積極的に交流して、会社を成長させるための協力者になってもらうべきだ。自社の立場を理解してもらい、課題を把握してもらい、必要なアドバイスを受ける。公的な支援を使い尽くすには、担当者とのしっかりしたコミュニケーションが欠かせない。