自ら通販番組に出演し司会を務め、年間1000億円を稼ぎ出すジャパネットたかたの高田社長。 “通販業界のカリスマ"のセールストークは、なぜ顧客の心をつかめるのか。
構成・文◎荻島央江 写真◎尾関祐士 |
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テレビで商品説明するときですか? 全く緊張しません。うまくやろうとするから緊張するんです。その点、僕はうまくやろうと思っていないから(笑)。
テレビを見ているお客様にメッセージが伝わりさえすればいい。だから原稿も用意しません。だって、プロポーズをするとき、紙に書いて読む人はいませんよね。それと同じです。多少ヘタでも、自分の言葉で語った方がお客様に言いたいことは伝わるのです。
カメラを前に、僕がいつも心掛けているのは、「上手に」ではなく、「分かりやすく」伝えることです。難しい用語を使わず、できるだけ平易な言葉で話します。「なんだかよく分からない」商品を買う人はいませんからね。
次に「面白く」。自分の学生時代を思い出してください。授業が面白いと、自然とその科目に興味がわきませんでしたか。だからこそ、我々は商品の機能や使い方だけを語ってもダメ。驚きや発見、感動が必要なんです。
ICレコーダーを例に挙げましょう。これは通常、会議の録音などに使うものですが、当社では、小さなお子さんを持つお母さん方に売れました。機能や性能の説明は最小限にして、「『何時に帰る』とか『冷蔵庫にアイスクリームが入っているよ』など、お子さんへ伝言を残したいとき、これを使ってみてはいかがですか」とアピールしたからです。
「自分がぜひ伝えたいと思うことだけを話す」というのも心掛けていることの一つです。
例えば、最近、反響が大きかった商品に、三洋電機の充電池「エネループ」があります。これは約1000回繰り返し使えてリサイクルが可能と、環境保護に貢献できる商品です。
このときの放送は、もはや「テレビショッピング」の域を脱していたかもしれません。僕自身、地球温暖化などに強い関心があるので、「便利になっていくのもいいが、守るべきものは守ろう。それにはこういった商品が必要だ」と熱っぽく語りました。
さらに、つい興奮して、「メーカーは商品をつくる。我々はそれを販売し、お客様は購入して、使う。三者それぞれ立場は違うけれども、それぞれの立場で地球環境を守っていけるんだ」とも言ってしまいました。
結果はどうだったか? 苦情どころか、放送終了後、「よくぞ言った」とばかりのものすごい反響で、エネループもばっちり売れました。
要は、ものを売るときに、本に書いてあるセールスの技術やセオリーはあまり関係ないんですね。僕は、営業とは自分でいいなと思ったものを人にも伝えることだと思っています。そんな自分の想いが伝われば、売り上げは自然とついてくる。
思い入れがあるからハイテンションになる
いいものを独り占めしているのはもったいない。だからこそ、「これはぜひ伝えたい!」という気持ちが加速して、話をしながら、思わず声がかん高くなったり、身振り手振りが入ったりするんです。これは意識的にというより、気づくとそうなっている。計算しているわけではありません。
この間も、熱が入りすぎて大変でした。商品説明を1人で1時間を2回やったんです。途中、インターバルを30分くらい挟んで。そのとき、一つめの商品、そして二つめと、声を張り上げてしゃべっていたら、年齢でしょうね、息がぜいぜいしちゃいました(笑)。こりゃたいへんだなと、「次はこちらです」と数秒、商品を映してくれている間に、息を整えて、無事にしゃべり切りました。
僕がテンション高く、熱意を込めてしゃべっているのを見て、「元気がでる」とか「楽しいよ」とおっしゃっていただけるのはとてもありがたい。しかし、その反面、「うるさい」と思っている人もいると思います。ここが私の永遠の課題です。うるさいと感じている人に「まあ許してやろうか。いいことをいっているじゃないか」と、思っていただけるようにこれからも努力し続けたい。

なぜ家電販売業の社長がそこまでやるのかと思う方もいるかもしれません。それは、ジャパネットたかたは、もはや単なる販売業でなく、時代が求めるものを社会へ送り出す情報発信企業だと僕自身が思っているからです。その伝え手である以上、自然体で、誠実に、物事を伝える義務がある。
会社を経営していると、いろいろなことがあります。でも、僕はこのジャパネットたかたという会社を経営するのが楽しくて仕方ない。現場で若い人からエネルギーをもらい、時代の流れを肌で感じられる。
確かに我々はメーカーではありませんから、世の中に役立つ製品をつくることはできません。でも、その商品の素晴らしさは伝えられる。我々のメッセージで、社会を変えるためのお手伝いができるかもしれないんです。
せっかく経営者になったのに、利益だけを追求するなんて、面白くないですよ。 (談)
高田流発想のポイント
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高田明(たかた・あきら)
1948年長崎県生まれ。大阪経済大学卒業後、機械メーカーを経て、74年父親が経営するカメラ店へ。86年に独立して「たかた」を設立。90年のラジオショッピングから通信販売に乗り出す。94年テレビショッピングにも進出し、業績を伸ばす。99年現社名に変更 |
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